場所:埼玉県のイベント

1950年代幻灯上映会

【総説】
占領期の検閲が日本刀による殺傷描写を軍国主義・封建主義の表れとして忌避したこともあり、1940年代には苦闘を強いられていた時代劇映画は、占領終了前後の1950年代に全盛期を迎え、黒澤明監督、溝口健二監督らによる数々の名作が生まれ、中村錦之助、美空ひばり、市川雷蔵、勝新太郎といったスターたちが大いに活躍しました。時代劇ブームは映画にとどまらず、雑誌連載・単行本マンガや絵物語、紙芝居、そして幻灯(スライド)などの他メディアにも波及します。今回の幻灯上映会では、いずれも1950年代に作られたユニークな幻灯時代劇3作品を、世界的に活躍する活動弁士片岡一郎さんの公演により、フィルムと幻灯機により上映します。なかなか実見する機会のない幻灯時代劇の世界をお楽しみください。

【上映作品解説】

❶『裏切者』(製作年不詳)
製作:エルモ社
フィルム提供:福岡市総合図書館

光学機器メーカーのエルモ社が1950年代に発売していた「エルモグラフ」シリーズの1作で、プロスペル・メリメの短編小説『マテオ・ファルコーネ』を、舞台をコルシカ島から筑波山麓に移し、幕末の天狗党の乱を背景に翻案した幻灯時代劇。原作の「金時計」が「印籠」に置き換えられるなど、ユニークな時代劇的翻案が随所にみられる。複数フレームを繋げて画面を水平方向に拡大して見せるパノラマショットを駆使したアクションやサスペンスの演出も効果的。

❷『修行者と羅刹 涅槃経 雪山童子 物語』(製作年不詳)
製作:日本光芸株式会社 松尾プロダクション
作:榎本晃
企画:近藤真頂
作画:粟津潔
フィルム提供:福岡市総合図書館

明治期から寺社仏閣での信者に向けた幻灯上映は盛んに行われており、戦後に至っても、寺院は学校や官庁と共に幻灯製作メーカーの有力な顧客であり、多数の仏教説話幻灯が製作されている。『涅槃経』の「聖行品」にある「雪山童子(せっせんどうじ)」の説話を幻灯化した本作もその一つで、おそらく1950年代前半に製作されたものと考えられる。作画は「粟津潔」とクレジットされており、従来存在を知られていなかった貴重な初期作品である可能性が高い。

❸『ひとくわぼり』(1956年)
製作:日本炭鉱労働組合
配給:日本幻灯文化株式会社
原作:上野英信
作画:加太こうじ
フィルム提供:神戸映画資料館

1950年代を通じて、日本炭鉱労働組合(炭労)は、幻灯を利用した教育宣伝活動に積極的に取り組み、傘下の労働組合による争議を記録・宣伝する一連の幻灯のほか、筑豊炭鉱の文芸サークル運動の生んだ上野英信・千田梅二の「えばなし」を原作とする物語幻灯2本を製作している。本作『ひとくわぼり』はそのうちの1本で、筑豊地方に伝わる民話に、魯迅『故事新編』中の短編「鋳剣」の影響を加味して創作された上野英信による原作に、さらに脚色を加えて幻灯化している。幻灯版の作画は戦前から街頭紙芝居の作者として活躍してきた加太こうじが担当しており、当時、衰退しつつあった街頭紙芝居業界にあって、加太は幻灯に活路を見い出すべきであるとの主旨の発言をしており、本作はその実践例でもあるといえるだろう。

美術館入館料のみ/参加自由
※本プログラムはJSPS科研費15K02188「昭和期日本における幻灯(スライド)文化の復興と独自の発展に関する研究」(研究代表者:鷲谷花)の助成による

開催日

2017年6月17日14:00 ~ 2017年6月17日16:00

イベント登録者

原爆の図 丸木美術館

開催場所

項目内容
場所原爆の図 丸木美術館
住所(1行表示)〒355-0076 Saitama Higashimatsuyama-shi 下唐子1401-3

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